相談前
ご依頼者様は、家事を行わない等の理由で相手方より離婚請求訴訟を提起されたとのことで当事務所に相談に来られました。依頼者様は、当初より、相手方が不貞行為を行っており、そのために離婚を求めてきたのではないかと疑問をもっておられましたが、不貞行為に関する十分な証拠はありませんでした。
また、離婚請求訴訟を提起された時点で別居を開始してから1年以上が経過していたため、ご依頼者様は、離婚することで意思は固まっており、問題の長期化を嫌い、早期の解決を望んでおられました。
相談後
反訴を提起する準備と併行して、早期解決を目指し、原告訴訟代理人との間で交渉を行った結果、相手方がそれまで支払っていた婚姻費用と同額の養育費を依頼者様に継続して支払っていくこと及び解決金として数十万円を支払うことで合意しました。
結果として、反訴を提起することなく、相談より約2ヵ月で訴訟上の和解が成立しました。
弁護士からのコメント
ご依頼者様からは女性の影があると相談を受けましたが、弁護士の観点から見た場合に証拠といえるものがない状態でした。他方で、相手方が主張する事実に関しても特段の証拠がない状況でした。そして、ご依頼者様が考える事実を記載した反訴状を提出すると、相手方が感情的になり、訴訟が長期化するおそれがある一方で、確たる証拠がなく双方の主張がともに認められないおそれもありました。そうしますと、反訴による申立費用や弁護士費用をかけたにもかかわらず、得るものがないことにもなりかねませんでした。
そこで、ご依頼者様に対して、和解により事件を終了させることのメリット・デメリットを説明の上で、早期の解決を希望されましたので、反訴を提起する準備を進めるのと同時に、和解交渉も併行して行う方針を決定しました。私において、相手方弁護士と話をした結果、相手方弁護士も長期化させるべきではないとの認識をお持ちであったため、金額面での交渉を行い、最終的には和解により早期に解決することが出来ました。
離婚問題は、感情的な側面を多分に含む問題ですので、和解での解決が最善とは限りませんが、依頼者様が早期の解決を希望される場合には最適な方法となりえます。他方で、確たる証拠がある場合や感情論として事実をうやむやにしたまま終わりにしたのでは納得ができないという場合には、反訴を提起し、徹底的に戦うことなるでしょう。